○阿蘇広域行政事務組合火災調査規程
平成8年8月29日
規程第6号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 調査体制(第4条―第6条)
第3章 調査員の心得(第7条―第10条)
第4章 調査の実施
第1節 火災出場時の調査等(第11条―第15条)
第2節 現場調査(第16条―第21条)
第3節 資料の収集、鑑定(第22条―第24条)
第4節 原因の判定(第25条)
第5章 火災調査書類(第26条―第30条)
第6章 雑則(第31条―第34条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 本調査は、火災の原因及び火災により受けた損害を明らかにして火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(調査の区分)
第3条 調査は火災原因調査及び火災損害調査に区分する。
2 火災原因調査は、次の各号に掲げる事項を究明するために行うものとする。
(1) 出火前の状況
(2) 出火原因
(3) 発見・通報の状況
(4) 初期消火の状況
(5) 延焼拡大の状況
(6) 避難の状況
(7) 防火管理等の状況
(8) 死傷者の状況
(9) その他必要な事項
3 火災損害調査は、次の各号に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。
(1) 焼き損害
(2) 消火損害
(3) 爆発損害
(4) 火災による死傷者
第2章 調査体制
(調査責任)
第4条 消防長は、管轄区域内の調査の責任を有する。
2 消防長は、予防課長及び署長に対して、調査遂行上必要な指示を与えるものとする。
(体制の確立)
第5条 消防長は、調査に必要な人員及び調査用器材を整備し調査体制を確立しておかなければならない。
2 消防長は、火災の形態により調査を機動的かつ効果的に実施するため、特に必要があると認めるときは、調査本部を設置するものとする。
3 前項の調査本部を設置したときは、消防長を本部長、副本部長を予防課長及び署長とし、調査の指揮にあたるものとする。
(調査員の指定)
第6条 消防長は、消防署の実情に応じて調査員を指定し、調査に従事させるものとする。
2 調査執行指揮者は署長とし、調査員を指揮監督し火災現場の保全の徹底を図り調査を執行する。ただし、当該指揮者は火災の態様により署長を補佐する者とすることができる。
3 消防長は、特に必要があるときは第1項の調査員以外の職員、調査用器材の派遣要請を行うことができるものとする。
第3章 調査員の心得
(調査の原則)
第7条 調査は、事実の確認を主眼とし、先入観念にとらわれることなく科学的な方法による確認と合理的な判断の上に立ち事実の立証に努めなければならない。
(調査の的確)
第8条 調査員は、調査方針を樹立するとともに、随時調査会議等を行うなど調査員相互の連携を図り、調査業務の進行が円滑になるよう努めること。
(調査員の心得)
第9条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次の事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員は、調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないように努めるとともに、個人の自由・権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならない。
(2) 調査員は、関係のある場所へ立入るときは、原則として関係者の立会いを得ること。
(3) 警察機関、その他の関係機関とは密接な連携をとり相互に協力して調査を進めること。
(関係者等への対応)
第10条 調査にあたっては、関係者等に対して公平、公正を基本とし、穏健妥当な方法により協力を得るように努めなければならない。
第4章 調査の実施
第1節 火災出場時の調査等
(調査の着手)
第11条 調査員は、火災を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。
(火災出場時の見分)
第12条 火災に出場した消防隊員及び調査員は、出場途上及び現場において火災の状況、消火活動中における火煙の色、臭い、燃焼音、延焼経路の見分、その他関係者の言動等の情報収集に努めなければならない。なお、見分状況及び収集した情報にあっては、現場指揮者に報告しなければならない。
(現場保存区域の設定)
第13条 現場指揮者は、調査のため必要があると認める場合は、法第28条に基づく消防警戒区域(以下「現場保存区域」という。)を設定し、現場の原状確保を期するものとする。
2 現場保存区域は、必要最小限の範囲にとどめその設定にあたっては、警察機関と連携を密にして行うものとする。
3 現場保存区域は、立札等を掲出しロープ等によりその範囲を明確にするものとする。
(現場保存)
第14条 現場指揮者は、出火点と認められる場所及びその付近の消防活動をするにあたって、物を移動し又は破壊する場合は最小限にとどめ、現場が分かるよう写真撮影その他の記録を行い、調査のため必要な措置を講じるとともに現場保存に最大の配意をしなければならない。ただし、調査上その必要がないと認めたときはこの限りでない。
(死者が生じている場合の扱い)
第15条 消防長は、火災現場において死者を発見した場合は、所轄警察署長に通報するとともに、必要な措置を講じなければならない。
第2節 現場調査
(調査の指揮)
第16条 調査執行指揮者は、実況見分、写真撮影、図面作成等の各担当者を定め、組織的に調査の進行を図るものとする。
(火災現場の見分)
第17条 調査員は、火災現場を見分し、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。
2 火災状況の見分は、その内容を明確にするため、写真により記録するよう努めなければならない。
3 調査員は、実況見分、関係者に対する質問等による事実等に基づき現場の復元を行うよう努めなければならない。
(現場立会人)
第18条 現場の調査は、関係者を現場立会人として実施しなければならない。ただし、特別な事情により関係者が不在でやむを得ない場合は、関係者の近親者その他適当な者を立会人とすることができる。
2 現場立会人は、見分しようとする場所、物件に直接関係する者を優先しなければならない。
3 火災現場において調査のため必要がある場合は、関係者の了解を得て関係物件の製造者等を立会人とすることができる。
4 前各項により現場の立会を求めた場合は、安全管理、健康管理、言動等に細心の配意をしなければならない。
(質問)
第19条 調査員は、関係者に質問し、原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。
2 調査員は、質問を行うにあたっては、場所、時期などを考慮して被質問者の任意の供述を得るようにしなければならない。
3 調査員は、質問を行うにあたっては、自己が期待し、又は希望する供述内容を相手方に暗示するなどの方法により誘導してはならない。
4 調査員は、伝聞による供述で調査上必要なものは、その事実を直接経験した者の供述を得るようにしなければならない。
5 調査員は、質問により知り得た事実のうち、原因の判定に必要と認められる内容については、質問調書にその内容を記録しなければならない。この場合、記録した内容を当該関係者に読み聞かせるなどし、記載事項に誤りがないことを確認し、質問調書に署名を求めるものとする。
(少年等に関する調査)
第20条 少年(20歳に満たない者。以下同じ。)の関係する火災の調査を行うにあたっては、少年の将来を考慮し、恩情と理解をもってあたらなければならない。
2 少年は実況見分の立会人としてはならない。
3 少年に対する質問は立会人をおいて行わなければならない。
4 前2項にかかわらず、年齢、心情又はその他諸般の事情により支障ないと認める場合は、一般の例によることができる。
5 心神そう失、心神こう弱の状況にある者、又はろうあ者の関係する火災の調査は、前項を準用する。
2 前項の火災損害申告書が提出された場合、これを受理するものとする。ただし、現場におけるり災状況調査の内容と当該火災損害申告内容が著しく異なる場合は、その矛盾を明らかにし、訂正を求めた後受理するものとする。
3 損害額の算定基準は、火災報告取扱要領の全部改正について(平成6年4月21日付け消防災第100号。以下「火災報告取扱要領」という。)に基づき算出しなければならない。
第3節 資料の収集、鑑定
(資料の収集・保管)
第22条 消防長は、調査のために必要と認めるときは、関係のある者に対し、資料の任意提出を求めることができる。
4 資料提出者が、資料の返還を求めるときは、資料保管書と引き換えに、返還しなければならない。
(照会)
第23条 消防長は、関係機関に対し、調査に関する事項を照会する場合は、火災調査関係事項照会書(様式第7号)により行うものとする。
(鑑定)
第24条 消防長は、火災原因調査上、公的機関の鑑定の必要があると認めるときは、鑑定依頼書(様式第8号)により行うものとする。
第4節 原因の判定
(原因の判定)
第25条 火災原因の判定は、火災の実況見分、質問、その他の関係資料等を総合的に検討し、判定するものとし、物的調査、人的調査による資料により裏付けるものとする。
第5章 火災調査書類
(即報)
第26条 調査員は、調査執行指揮者の指示を受け、調査した概要を火災即報書(様式第9号)により、消防長に即報しなければならない。この場合、ファクシミリ等の通信機器による即報もできるものとする。
(火災調査書類、報告)
第27条 調査員は、調査結果を火災調査書類により消防長に報告しなければならない。
2 火災調査書類は、火災の全容を明かにするため、次の各号に定める様式のうち必要なものを総括し一体としたものをいう。
(2) 火災原因判定書(様式第11号)
(3) 火災出場時における見分調書(様式第12号)
(4) 実況見分調書(様式第13号)
(6) 建物火災損害調査書(様式第15号)
(7) 林野・車両・その他火災・爆発損害調査書(様式第15号の2)
(8) 防火管理等調査書(様式第16号)
(9) 火災による死傷者調査書(様式第17号)
(11) 火災損害算出書(様式第18号)
(12) 消防活動報告書(様式第19号)
(13) 隊別活動報告書(様式第19号の2)
(14) 消防活動図(様式第20号)
(15) 火災現場見取図、配置図、平面図及び復元図等その他必要な図面(様式第21号)
(16) 写真台帳(様式第22号)
(17) 鑑定結果書
(18) 火災調査関係事項照会書
(19) その他火災原因の判定、損害の認定の根拠となった資料等
(火災調査書類の一部省略)
第28条 調査執行指揮者は、火災調査書類を効率的に作成処理するため、焼損程度が小規模な建物火災その他の火災で、かつ、火災の原因が明白なものにあっては、火災調査書類の一部を省略することができる。
2 調査執行指揮者は、林野、その他の火災で火災損害がなく、火災損害申告書の提出及びり災証明書の交付申請が確実にないと認められる場合、火災の原因が明白であり社会的影響の少ない焼損面積10ヘクタール未満のものにあっては、火災調査書(軽微)(様式第10号の2)を作成することにより火災調査書類の一部を省略することができる。
(関係町村への報告)
第29条 消防長は、調査結果について、火災報告取扱要領に基づき、当該要領様式の火災報告を行う場合は、併せて関係町村長へ報告を行うものとする。
(り災証明)
第30条 消防長は、り災に関係ある者からり災証明書の交付申請があった場合は、当該火災の焼損状況等の事実に基づき、り災証明書を交付することができる。
第6章 雑則
(照会の対応)
第31条 消防長は、官公署等から火災調査書類又はこれら調査結果内容について照会があった場合は、回答することができるものとする。
2 前項の照会対応は、り災者個人の名誉、プライバシー及び企業秘密等の保護に十分配慮するとともに、爾後における円滑な消防行政の運営に支障をきたさないよう配慮し、その対応については慎重に協議を行うものとする。
3 前2項のほか、火災調査書類の情報の開示要請対応にあっては、別に定めるところによる。
(証人、参考人としての出頭)
第32条 職員は、自己の担当した調査に関して捜査機関から参考人として出頭を要請され又は裁判所から証人として呼出、召喚を受けた場合は、消防長にその事案概要を即報しなければならない。
2 前項により出頭した結果についても同様とする。
(書類の保存)
第33条 調査書は、阿蘇広域行政事務組合文書規程(昭和63年4月1日規程第3号)に基づき、保存するものとする。
(委任)
第34条 この規程の運用に必要な事項は、別に定めるところによる。
附則
この規程は、平成8年8月29日より施行する。
附則(平成24年消本訓令第1号)
この訓令は、平成24年4月1日から施行する。
附則(平成28年消本訓令第1号)
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
附則(令和元年消本訓令第4号)
この訓令は、令和元年9月17日から施行する。
附則(令和2年消本訓令第2号)
この訓令は、令和2年10月14日から施行する。
附則(令和3年消本訓令第1号)
この訓令は、令和3年1月8日から施行する。
附則(令和5年消本訓令第2号)
この訓令は、令和5年4月1日から施行する。