平成16年冬号 狭心症・心筋梗塞
心臓は絶えず全身に血液を送り出すポンプの働きをしており、働くためには多くの酸素を必要とします。心臓に酸素を与えるのが冠状動脈です。
下の絵のように正常な冠状動脈では、酸素が心臓に運ばれますが、血管が狭くなり心臓に酸素が足りなくなった状態を『狭心症』といいます。
また完全に血管が詰まってしまい酸素が全く心臓にいかなくなってしまった状態を、『心筋梗塞』といいます。
狭心症治療の目的は、心臓が酸素不足を起こさないようにし、心筋梗塞への進行を予防することです。
また狭心症発作が起きたときに速やかに発作をおさめることも目的の一つです。
治療
狭心症・心筋梗塞の薬は根本的に治すものでなく、発作を抑えたり、予防することが目的です。生活習慣(タバコ、食べ過ぎ、運動不足、不規則な生活など)の改善を行うことが重要です。
- カルシウム拮抗薬
- 血管を広げ、けいれんをおさえる作用があります。長時間作用する薬を使用することが多く、通常、一日一回服用となります。
- β遮断薬
- 運動により起こる狭心症の第一選択薬となります。心臓の働きをおさえ、血圧を下げる作用を持ち、心筋の酵素の消費量を抑え、心筋の酵素不足を防ぎます。
- 抗血小板薬
抗凝血薬 - 冠状動脈に血栓が出来るのを防ぐお薬です。血液の流れをスムーズにし、心臓に酵素が運ばれやすくします。
- 硝酸薬
- 冠状動脈と全身の静脈を広げる作用があり、静脈を拡張することで血液が静脈に蓄えられ、心臓へ戻る血液量が少なくなり心臓の負担を軽くします。
- 冠血管拡張薬
- 冠血管を拡張させる薬の総称です。硝酸薬のより作用が弱く、他の薬でコントロール出来ないときや、心筋梗塞の再発予防に使われます。
- ACE阻害薬
- 高血圧の薬ですが、心筋を保護する作用を持ち、心肥大や心拡大を予防する目的で使用されます。
- AⅡ受容体拮抗薬
- ACE阻害薬と同じように、心筋を保護する作用があります。ACE阻害薬よりも副作用が少ないのが特徴です。
※ご不明な点や質問がございましたら、いつでもご相談下さい。